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「きちんと役目は果たしますよ」
とでも言いたげなライヴだった。
全てが段取り良く整えられて、きっちりと無駄なく詰められている。
あまりにも淡々と粛々と進行されるので、
あまりにも事務的だから、
巻き起こる感情さえも・・・
その流れに飲まれている自分に気付いた時、眩暈がした。
でも、それに躊躇している余裕もないの。
だって最後だから。これが最後。
1曲1曲、一瞬一瞬を、しっかりと見届けて刻んでおかなければ。
悲しんでいる余裕はなかった。
泣いている暇もなかった。
そもそも私は泣かないけどね。
次から次へとどんどん投げつけてくるものだから、私の両手はもういっぱいに塞がっているのに、急げ急げと投げてくるから
そのどれを取ってもSugarだったなぁ。
きちんと終わらせるために、18時開演の定刻どおりにきっちり始まり、21時40分には終演のアナウンスが流れてた。
ろくにアンコールかけなくても出てきたし、出てきても話すことなく、すぐに演奏。
久しぶりに見るSugarは、前に見た時のSugarのまま、変わらないところもいっぱいあった。
一方で、その変化に驚いたところもあった。
変わったところと、変わっていないところ。
その、変わらなかったところに、「この人たちは結局、私が何を望んでいるのか察しなかった。気付かないうちに終わった。」と、傲慢なことを思った。傲慢だっていい。だってそういうものだから。それに、その「通じなかった」という失望感が、かえって嬉しかったりもする。
メンバーが「楽しそう」だったのは、きっと、安堵によるものでしょ。
最後の最後に捌ける時、シズナが人間の声で「ありがとう!」って言った。
篤人さんは、ライヴが進むにつれてどんどんホッとした表情になっていった。
篤人やシズナが何も感じていない、Sugarを惜しんでいないなどとは、思ってないんだ。きっとそれなりに痛みを感じて、悩んで、その上で出した結論に乗っているんでしょ。
でも、その感じ方が、こちら側とは方向も度合いも違うというだけで。
そんな中で、最後に震えながらむせび泣くLokiを見て、「あぁ、そうだよね。解散ってこういうものだったよね。」と、安心感に近いものを感じる。
それと同時に、「あぁ、そうよね。これはLokiの役割よね。」とも。
解散の裏側には、こんなことがあったんじゃないか。あんなこともあったんじゃないかと、ある程度は想像するでしょ。私もそうだし。
でもそういったことを「言わない」もしくは「言えない」と決めた上で、
胸の奥をこそぎ取って振り絞るように、Lokiは言った。
「・・・することで得られるものも、たぶん、きっと、あると思うし・・・」
「乗り越える強さを、君たちに持ってもらいたいと・・・」
聞き取れたのはこれくらいで、あとはもう、嗚咽ばかりで言葉になっていない。
その言葉の後ろには、どれほどの念があったか。
どれほどの想いを飲み込んで、喉を詰まらせていたか。
どす黒いものを胸につかえさせながら、ようやく出てきた一粒一粒の言葉。
言葉として耳に聞こえてきたのは、ほんの少し。
実際に耳に届いた言葉よりも、Lokiが伝えようとした想いの方が、何倍も大きい。
伝えようとする力の方が、何倍も強い。
あまりにも強烈に迫ってきたその想いが大きすぎて、抱えきれなくて、
その迫力の前にあって言葉はあまりにも卑小で無意味だった。
汗でボロボロに崩れた顔で、乱れた髪で、しかもあんな衣装で、あの体で
どこから見ても美しくない。醜く歪んだ表情で、歯を食いしばりながら、マイクが砕け散るんじゃないかと思うほど強く握りしめながら。
目の前の客に向かって語りかけているようでいて、途中からはもう、自分で自分に言い聞かせているだけ。
「乗り越える強さを君たちに持ってもらいたい」って、それあなた、自分に言ってるでしょ。「乗り越える強さを僕にください」としか聞こえなかったよ。
「解散することで得られるものも、きっとあるはず」って、それもあなた、自分に言い聞かせてるんでしょ。
この人は最後の最後まで「自分」だったなぁ。歌詞と同じだ。
そして、そんな自分本位のLokiが、とてつもなく魅力的だった。
Sugarは篤人のバンドのように見えて、実はLokiのバンドです。
バンドマンや客がSugarを見た時に「Sugarって実はドラムがすごいよね」というニュアンスで評するのは、あれは逆だと思うの。
入り口が篤人で出口がLoki。
もしくは、入り口がLokiで、篤人を経由して、Lokiに出る。
Lokiの歌が、すごく変わってたの。去年まであれだけボロボロだった歌い手と同じ人とは信じられない。
「歌い手として」の力だけではなく、あれはきっと、技術面でも向上があったはず。だってうまかったから。
私、Sugarの曲を聴いていても、言葉が響いてきたことはなかった。
ただ聞いているだけでなぜか言葉が響いてくることって、ままあることだけど。ここのバンドにはなかった。
それが、今の今になって、初めて。
Blossomで「あれ?」と気付いた。「花を届けよう」とLokiが「言った」途端に、目の前に大きな花束が現れて、香りが感じられた。
マリシャスでは思わず苦笑したし、媚薬では初めて「悪意はしなやかに」というフレーズの意味が分かってしまった。伝わってきてしまった。
「手紙に代えて」にいたっては、もはら楽器が聞こえない。メロディも聞こえない。Lokiの語りでしかない。
この人は、どこでどうやって、こんな「伝える方法」を身に付けたんだろう。
セットリストに意外性はなく。
ライヴを見ている間は、最後に独白を置いたことだけはLokiの意見なんじゃないかって、思ってた。
“SugarはLokiの独白でした。”
という夢オチで。
でもあれは、実は篤人の采配だったんじゃないか・・・なぁ?知らないけど。だって、とても堅実で頭の良さそうなセットリストだから。ラストに独白。
独白かぁ。独白ね・・・。「独白が好き」と言うことに、どうしても抵抗があるんだな。
Sugarの甘く愛しい「終わり」をLokiが伝えている背後では、
表情一つ変えることなくドラムセットの調整をしている篤人がいて。
Lokiが車にはねられた云々という話をしていた時も、篤人は相変わらず「一切聞いてません」って顔だった。・・・イヤホンしていて、実際に聞こえなかったのかもしれないけど。
ここで篤人が、Lokiの話や涙に対して露骨に嫌な顔をしたりすれば、「お?」って思うんだけどね。最後まで変わらずに、「俺知りません」「俺めんどくさい」の態度を崩さなかったよねあっくん・・・。
我が身を儚んでおく。
この人たちは結局最後まで、Lokiの何が魅力的なのか、理解しなかったんだろうな。
厭味ではなく、皮肉でもないよ。
私、
Sugarが終わった
ということは、分かるんだ。実感してる。
悲しいとは感じないし、
残念・・・というのとは違うし、
それは最後のライヴを見ても変わらなかった。
7月4日のライヴで盛大に幕を下ろしました!というものでも、ないでしょ。
かと言ってネガティブな感情ばかりが残る幕引きでもない。
よく分からないままに、でもきっちりと終えていきました。
という感じかなぁ。
Sugarを
純白の、
とても美しい、
私だけの箱に
そっと入れて
蓋を閉じました。
SIZNAさん、セットリストありがとう。
2009.07.04 渋谷O-EAST セットリスト
1.「PARADISE」LOST
2.Blossom
3.紅い舌
4.swim like a butterfly
5.scAtter iN the depTh
6.錆
7.骨と翅
8.凍え揺れる炎
9.咎人の空
10.劣情、鮮やかなる秘め事を
11.ニンフォマニア
12.Memento-Mori
SIZNA solo
13.白日に抱かれた愛しき影
14.Sleepy
15.吐息めく湿度
16.悲しみに眠る陽だまり
17.Snow White
18.月に啼き朝を哂う花と
19.Brand new world
篤人 solo
20.malicious
21.JAM
22.苦悩と憂鬱に溺れて
23.afterglow
24.Candy
25.自腐
26.ベリー
真悟 solo
EN1.男娼と黒猫
EN2.antlion
EN3.麝香漂う中で
EN4.惡の華咲く夢の又夢
EN5.浴槽
EN6.媚薬
EN7.Ridicule
EN8.inpain
EN9.手紙に代えて
EN10.独白
硝子の箱
本、ライヴ、映画、靴、洋服
GRAPEVINE
D'espairsRay
Sugar
SUICIDE ALI
Re-Trick
g.o.d
1TYM
G-dragon
UNBILICAL
BELLY BUTTON
LOGAN
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