＜事の顛末＞ 注）悲劇じゃないので楽しみにしないで読んでください。

登場人物

硝子　・・・主人公
ﾃﾝ子　・・・硝子と生年月日がほぼ同じ。星占いも血液型占いも動物占いも細木和子も九星占術も、全て同じ。
T先輩　・・・ちょう美人と評判の♀先輩。美人で三十路で独身という三重苦。仕事ができるという点も含めると四重苦。



硝子が前の部署に異動して、初めてT先輩に声をかけた時、その話し掛けが華麗にｽﾙｰされました。
人はそれを無視と呼ぶ。

まぁ、硝子はそんなもんでめげる女子じゃないので、無視されたのか気付かなかっただけなのか確かめるために、再度声をかけました。
やはりｽﾙｰ。
私の方を見もしない。

無視だ。

その後も、仕事上の受け答えはまずまずしてもらえるものの、それ以外は返ってきません。

同じ職場の周囲の人たちに、「T先輩に声掛けても返事がないんですけど、あの人はそういう人なんですか？」と聞いてみたところ、皆さん口をそろえて「あ～そうなんだよね～。私（僕）も初めはそうだった。」と言うのですよ。

硝子は正直ｷﾚていたので、「感じ悪りぃーなあんた！」と思ってました。腹立つ。

さらに腹立つことに、周囲の方々が、「あの人（T先輩）はすごい人見知りなんだって。だからしょうがないんだよ。」と。

人見知り！

出たー・・・！！！


職場で人見知りとか言ってんじゃねーよこの三十路がっっっ！！！！！


人見知りするのはあんたの勝手だが、仕事にそれを持ち込むな！

つーか人見知りってなんだよ。


硝子は「なんなのあいつ。」と怒ったんです、ねぇ。


そして月日は流れ、半年後くらいにはT先輩ともそこそこ話せるようになってました。
とは言っても硝子はT先輩のことを好きじゃなかったし、でも別に嫌いでもなく、ただ同じ部屋で仕事する人間関係として仲良くしていたという感じで。
仕事の話以外にも、ちょっとした世間話くらいはするようになってたし。


そんな折りに、ﾃﾝ子がうちの部署に配属されました。
ﾃﾝ子は私と同い年で、誕生日も近くて、それ以外にもいろいろと趣味の共通点があり、初めっから意気投合して仲良くなったんです。
美人で、ちょっと派手めで、細くて、化粧ﾊﾞｯﾁﾘで、明るくて、華やかで、姉御肌。
動物占いのﾄﾗは姉御肌なの！

ﾃﾝ子が配属されて数か月が経った頃、飲み会の後に職場の女子一同としゃべりながら帰っていたら、ふと、「ほんとさー、あのT先輩って何なわけー！？」とﾃﾝ子がｷﾚだした。

私は聞いたことなかったけど、ﾃﾝ子は異動してきて早々にT先輩に無視されてﾋﾞｯｸﾘしたらしく、それ以降たびたびｸﾞﾁっていたらしい。

ほほーぅ・・・やっぱりあんたも無視されたか・・・
硝子はなんだか楽しくなったので、ﾃﾝ子に、「T先輩はね、すごーく人見知りする人なんだよ。だからしょうがないんだよ。」と教えてあげました。硝子は親切な子。

そしたら案の定、ﾃﾝ子がｷﾚた。

「人見知りとか言ってんじゃねーよ！お前いくつだよ！！！」


いいねぇ！！
ﾃﾝ子、いいよ！！！


ｼﾅﾘｵどおりにｷﾚてくれたﾃﾝ子に拍手喝采でした。



世の中にはいろんなﾀｲﾌﾟの人間がいて、その「ﾀｲﾌﾟ」という区分けを飛び越えられることもあるし、飛び越えられない区分けもある。

硝子はﾃﾝ子と一緒にいると楽だし、考え方や行動が似ているので話も早い。
だからﾃﾝ子のことが好きだし、ﾃﾝ子と一緒にいることも好きです。

でもその一方で、T先輩みたいな人間と関わることで得られるものもあるから、「T先輩なんて嫌いだ」と切り捨てることも、しないんです。

まぁ、いわゆる反面教師・・・みたいな。


T先輩の背中を見て、自分の戒めにしたい。